多くの人々が聞いたことのある「インサイドセールスはやめとけ」という意見。しかし、その理由と向き合うことで、どのように成功するのかが見えてきます。この記事では、下記の構成で解説します。
・インサイドセールスが「やめとけ」といわれる理由
・「辛くない」インサイドセールスとしての働き方
・インサイドセールスとして働くメリット
・インサイドセールスへの転職を成功させるコツ
・インサイドセールスの転職成功事例
インサイドセールスが「やめとけ」といわれる理由
インサイドセールスが「やめとけ」と言われることは多いですが、その中には誤解や改善可能なものも多いです。この章ではインサイドセールスが「やめとけ」と言われる理由を解説します。
・テレアポ部隊だと思われやすい
・フィールドセールスと比べて軽視される場合がある
・フィールドセールスより達成感が少ない場合も
・スピードと量が求められ、負荷が大きい
・アポの量と質でマーケティングとフィールドセールスの板挟みになりがち
・正解が見つかりにくく、成果が属人化する場合がある
テレアポ部隊だと思われやすい
インサイドセールスは 「テレアポ部隊」と誤解されることが多い ですが、実際には限られた時間で多岐にわたる業務をこなす必要があり、戦略的かつデータドリブンなアプローチが求められます。顧客との継続的な関係構築や、BtoB特有の長期間にわたるリードナーチャリングが求められるため、テレアポとはかなり実態が異なります。
フィールドセールスと比べて軽視される場合がある
伝統的な営業職として知られているフィールドセールスが売上創出の要だと思っている人は依然多く、現場での対面営業が重要視されやすいのも事実です。しかし、現代の企業はインサイドセールスの効率性や低コストでの顧客獲得なしには成立しないビジネスになっているところも多いです。
フィールドセールスより達成感が少ない場合も
顧客と折衝するフィールドセールスでは、成約時に特に成果を感じやすく、一時的な達成感を味わうことができます。それに対して、インサイドセールスは特にアポイントを取るまでの間、 中長期的での関係構築が中心となるため、 特に初心者には達成感が得にくいかもしれません。しかし、インサイドセールス次第で顧客単価やアポ率はかなり変わってくるため、しっかりと数値ベースで達成感を味わうことは可能です。
スピードと量が求められ、負荷が大きい
インサイドセールスは短期間で多くの潜在顧客に接触し、迅速に成果を上げることが求められます。このため、 負荷が大きくなることもあります。 ですが、生産性を高めるためのITツールや業務自動化技術が進歩し、負担を軽減できる仕組みが整っていますので、これらをうまく活用することが不可欠です。
アポの量と質でマーケティングとフィールドセールスの板挟みになりがち
インサイドセールスは、マーケティング部門とフィールドセールス部門の間で調整役を果たすことが多いです。
- マーケターからはアポ率を上げてくれと言われる
- セールスからは質の高いアポを送ってくれと言われる
という話は、よく聞かれますし、双方の期待に応えつつ成果を出すことが求められます。 これは非常にチャレンジングなポジションですが、実際は組織間で水準を明確化し、アポの質の定義を行うことで解消できます。
正解が見つかりにくく、成果が属人化する場合がある
セールス職全般に言われることですが、この手の仕事は最初から得意な人と、そうでない人に分かれるものです。特に未経験からスタートした場合においては、どの人の真似をすればいいのか、どのスクリプトが刺さるのか、見当がつかないこともあります。 組織において成果がばらつくことも多いでしょう。 組織全体での知見の共有と強固なチームワークだけでなく、再現性の高い手法を皆で集めたり、他社の事例を学んだりする姿勢が求められます。
「辛くない」インサイドセールスとしての働き方
インサイドセールスに従事することは、時に多くの負担やストレスを伴うこともあります。しかし、適切なアプローチをすることで、より良い環境での仕事が可能となります。ここでは具体的な方法を紹介します。
データドリブンな文化の会社を選ぶ
データに基づく意思決定が重視される企業では、客観的な根拠に基づいたフィードバックを受けたり、改善活動をすることができます。これにより、状況に応じた迅速なアクションが取りやすくなり、板挟みによるストレスの軽減や効率的な営業活動が実現します。
目標達成のための新しい企画を行い、他組織と連携して問題解決をする
インサイドセールスは、マーケティングやフィールドセールスと密接な関係があります。他部門と積極的に協力し、プロジェクトに参加することで、新たな視点やスキルを得ることができ、問題解決につなげることが可能です。
- マーケティング部と一緒にリードの質を定義するプロジェクトを行う
- フィールドセールスに同行し、質の高い商談を設定するための観点を改修する
といった取り組みを行えば、インサイドセールス特有の悩みは軽減されるでしょう。
また、目標達成に向けた新しい取り組みを提案し、自ら実行することができれば、市場価値を高めることもできますし、新しいアイデアを実現する姿勢は周囲の信頼を勝ち取り、評価につながります。
定量分析による可視化や業務効率化で組織全体を改善する
データを活用して業務プロセスを分析し、問題点を可視化することで、業務の無駄を排除し効率化したり、マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス一連でのボトルネックや課題を発見しやすくなります。また、日常業務における反復的な作業を自動化することで、人的リソースを解放し、より重要なタスクに集中することができるようになるでしょう。
その先のキャリアパスを描く
インサイドセールスをキャリアの出発点と捉え、長期的な視野で成長の道筋を描くことがモチベーションの維持につながります。具体的には以下のようなキャリアパスがあります。
キャリアパス | 説明 |
---|---|
マネジメントとしてのキャリア | リーダーシップを発揮し、チームを率いて業績を向上させることを目指します。チームの成果を最大化するための戦略を考えるスキルを磨くことが求められます。 |
営業企画としてのキャリア | 新たな営業戦略を企画し、実施する役割を担います。市場分析を基にした企画力を発揮し、営業部門全体を牽引します。 中には分析力を活かして、営業効率化のツール導入などを行うこともあるでしょう。 |
マーケターとしてのキャリア | マーケティングの視点で営業活動を支援する役割にシフトすることも可能です。インサイドセールスで培った、顧客理解とその先のスクリプトの検討のプロセスは、マーケティングキャンペーンにも適用できるはずです。 |
これらのステップを踏むことで、インサイドセールスとしてのキャリアを充実させ、より豊かな職業人生を送ることができるでしょう。長期的な目標を設定し、継続的な学習とスキルアップを行うことで、楽しみながら発展的なキャリアを築くことが可能です。
インサイドセールスとして働くメリット
インサイドセールスとしてはキャリアにとってプラスになる場合が多いです。
営業スキルが身に付く
インサイドセールスの大きな特徴は、電話やメールを通じて直接的に顧客と接する機会が豊富であることです。このため、効果的なコミュニケーションスキルや交渉スキルを自然と磨くことが可能です。これらのスキルは、他の営業活動やビジネスシーンで広く活用でき、個人のキャリア形成の上で大切な財産となります。
結果がすぐに分かりやすく見えるので、高速でPDCAを回しやすい
インサイドセールスはその性質上、活動の結果が短期間で現れやすいことが多いです。この特性により、PDCAサイクルを迅速に回し、営業活動の効率的な改善を進めることが可能です。短期的な成果の確認と改善を繰り返すことで、個人の成長と組織の営業効率向上を両立させることができます。
社会的な需要が大きく、特にスタートアップ・ベンチャーで重宝される
近年、多くの企業がインサイドセールスの重要性を認識するようになり、特にスタートアップやベンチャー企業では重視されています。これにより、インサイドセールスのポジションに対する需要が増しており、キャリアパスとして多様な可能性が広がっています。この需要の高まりは、役割の重要性を反映しており、特に初期段階の企業から多くの期待を受けています。
インサイドセールスの役割は、単に顧客とのやり取りにとどまらず、企業全体の売上向上に大きく貢献するための重要なポジションを占めています。
インサイドセールスに向いている人
多くの営業職と同様、インサイドセールスに向いている人というのが存在します。以下の特性を持つ人は、インサイドセールスの業務で高いパフォーマンスを発揮しやすい可能性があります。また、このような特性を持つ人々に訴求する方法を理解することで、企業はより効果的な採用活動ができます。
インサイドセールス(IS)に向いている人の特徴についても、こちらの記事で詳しくまとめてありますのでぜひ読んでみてください。
コミュニケーション能力が高い
インサイドセールスは、電話やメールなど非対面の方法で顧客と接することが中心です。このため、口頭と書面の両方で明確に、しかも簡潔に情報を伝える能力が不可欠です。また、顧客の意図を的確に理解し、そのニーズに応えるための提案力が求められます。
自己管理能力がある
インサイドセールスは、目標達成のための計画立案とその実行が必須です。自らの業務を効率よく管理し、期日を守る能力が求められ、これは集中した作業環境を実現するためにも重要です。
数字に対する意識が高い
数字に基づいた成果が重視される職種なので、KPI(重要業績評価指標)を意識した業務遂行ができます。営業成績を分析し、戦略を立てる能力は不可欠です。
適応力が高い
インサイドセールスは、変動する市場環境や顧客ニーズに迅速に対応する必要があります。マルチタスク能力と状況への柔軟な適応力が不可欠であり、新しいツールや技術を即座に使いこなせる能力も求められます。
テクノロジーに抵抗がない
CRM(顧客管理システム)やオンライントラッキングツールは日常的に使用されます。これらのツールに精通し、効率的に活用できる能力があることで、業務効率が向上します。
目標達成に対するモチベーションが高い
インサイドセールスでは特に、達成目標に向けたモチベーションが重要です。目標達成の喜びをモチベーションとし、それに向けて継続的に努力できる精神力が必要です。
これらの特性を持つ人は、インサイドセールスで成功を収める可能性があります。自身がこの特性を持っているか確認し、自分に合った企業文化や働き方を選ぶことが大切です。
インサイドセールスへの転職を成功させるコツ
インサイドセールスといっても様々あるため、転職するためには、一般的な対策だけでなく具体的なケースを学ぶことが重要です。
なぜインサイドセールスとして働きたいのか言語化する
インサイドセールスへの転職を考える際、まず自分がなぜこの職種を選びたいのかを明確にすることが重要です。目標や動機を言語化することで、転職活動中にぶれずに一貫した行動が取れるようになります。このプロセスを通じて、自分の長所や興味を深く理解し、理想的なキャリアパスを描くことができます。
自分の強み、活かせる経験を整理する
インサイドセールスではどのようなスキルや経験が役立つかを理解した上で、自分自身の強みを整理しましょう。例えば、コミュニケーション能力やデータ分析スキルは非常に重要です。これまでに自分が培ってきた経験を通じて、どの強みがインサイドセールスにおいて価値をもたらすのかを考え、具体的なエピソードとともに言語化できるようにしておきましょう。
自分と似た属性の人が活躍しているか、社員インタビューなどで確認する
インサイドセールスの現場の雰囲気を把握し、自分に合った職場環境を見つけるために、社員インタビューを活用することが有益です。特に、自分と似たタイプの人がどのように活躍しているのかを知ることで、具体的な職場でのイメージを持つことができます。これにより、自分の目指すべきキャリアの方向性が明確になるでしょう。
適切なインサイドセールスを行っている会社をプロから教えてもらう
転職エージェントは会社のデータをたくさん持っている
リクルートエージェントのような転職エージェントを活用することも効果的です。エージェントは企業の詳細なデータを持ち、自分に最適な職場を提案してくれる可能性があります。強調すべきは、企業の文化や業務内容を理解している信頼できるエージェントと連携することです。これにより、ミスマッチを防ぎながら効率的に転職活動を進めることができます。
組織によってISもさまざま、幅広い情報を得られるエージェント利用は有意義
インサイドセールスの業務形態や文化は企業によって異なります。幅広い情報を持つ転職エージェントを利用することで、選択肢を広げることができます。エージェントから新しい情報を得ることで、自分の希望に合った職場を見つけやすくなります。信頼できるエージェントを活用して、有益な情報をもとにした具体的な戦略を立てるのは非常に重要です。
インサイドセールスとして成功した人の事例
インサイドセールスで成功を収めた人々の事例を調べることは、自分のキャリアパスを描く助けとなります。こうした事例に目を通すことで、自分の目指すべき方向性や役立つ行動のヒントを得ることができます。
証券会社の営業から、ベンチャーのISマネジメントへ(男性・31歳)
「前職では証券会社で法人営業を行なっていました。それなりに評価もされていましたし、待遇も良かったのですが(笑)、結婚を意識し、子供ができる前にキャリアのチャレンジをしていきたいと考えてベンチャー転職を考えました。
フィールドセールスでの転職も考えたのですが、証券会社でタフに働いてきた自分にとって最適な環境を探したときに、エージェントからおすすめされたのがインサイドセールスでした。最初は『テレアポかよ〜』と思わなくもなかったのですが、話を聞いてみると、全く印象が変わりました。
これまでは個人プレーで営業してきたのですが、IT業界のビジネスでは分業と協業が必要で、しかもその要がインサイドセールス、そしてマネジメント経験もできるということで、転職を決めました。」
ベンチャーのセールスから、ISに異動し立ち上げへ(女性・28歳)
「新卒で入ったベンチャー企業では、まず営業職(いわゆるフィールドセールス)をやっていました。人より成果が出るまでに時間がかかったのですが、最終的には新人賞を取ることができました。そんな折、次のキャリアについて上司と話している際に『立ち上がりに苦労した経験を活かして、新しい組織を産み育ててほしい』と言われ、インサイドセールスの新チーム立ち上げを担当することになりました。
これまではインサイドセールスのアポの質に疑問を感じることがあったのですが、立ち上げる側の立場になって、インサイドセールスに求められる総合力にびっくりしました。
現在は立ち上がった組織におけるKPIのモニタリングと、それに応じた問題の設定、メンバーの履行のマネジメントを行っていますが、日々の改善が目に見えてわかるので充実しています。」
まとめ
今回はインサイドセールスが「やめとけ」と言われてしまう理由について解説しました。数値を追いかけ、複数組織の仲立ちをし、スピーディで臨機応変な対応を行う必要があるインサイドセールスは楽な仕事ではなく、むしろタフな仕事です。
しかし、その先に身につけられる営業スキルや分析スキル、他組織との折衝力は重宝され、インサイドセールス自体の需要も伸びています。適切な方法で転職すれば、成長のチャンスはかなり大きい、おすすめの職種といえるでしょう。