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カスタマーサクセスとコンサルの違いとは?業務内容や向いている人について解説

カスタマーサクセスとコンサルの違い

「カスタマーサクセス」を調べると「顧客の問題解決」「中長期での顧客貢献」といった「コンサルティング」でも使われる言葉が出てくるため、明瞭な違いが分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか?

どちらも顧客を支援する仕事ですが、その役割や業務内容は大きく異なります。 この記事では、カスタマーサクセスとコンサルティングの意味や業務内容、それぞれの違いを6つの観点(目的・役割、課題の範囲、業務内容、KPI、マネタイズ、求められるスキル)から分かりやすく解説します。また、それぞれの職種に向いている人の特徴も紹介することで、自分に合ったキャリアを考えるヒントを提供します。この記事を読めば、カスタマーサクセスとコンサルティングの違いが明確になり、今後のキャリアプランニングに役立つでしょう。特に、未経験でどちらの職種に就くか迷っている方は必見です。両者の思想には共通点も多く、市場の拡大によって需要が高まっているカスタマーサクセスは、キャリアのスタート地点としておすすめです。

・カスタマーサクセスとコンサルティングの意味や業務内容がわかる
・カスタマーサクセスとコンサルティングの違いが目的・役割、課題の範囲、業務内容、KPI、マネタイズ、求められるスキルの6つのポイントでわかる
・未経験者におすすめできるかがわかる

目次

「カスタマーサクセス」と「コンサルティング」とは

この章では、カスタマーサクセスとコンサルティングそれぞれの意味と業務内容について解説します。

カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスとは

昨今、BtoB SaaSビジネスを中心に注目を集めているカスタマーサクセス。その意味と業務内容を詳しく見ていきましょう。

カスタマーサクセスの意味

カスタマーサクセスとは、顧客が製品やサービスを通じて期待通りの成果、あるいは期待以上の成果を得られるように支援する活動全般を指します。顧客の成功を第一に考え、顧客との長期的な関係構築を目指します。単なる顧客満足度(CS)の向上だけでなく、顧客の事業成長に貢献することで、自社の収益拡大にも繋げる戦略です。

顧客生涯価値(CLTV/LTV)の最大化を重視し、チャーンレート(解約率)の低下、アップセル・クロスセルの促進を目指します。

詳しくは「カスタマーサクセスとカスタマサポートの違いとは?KPIや求められるスキル、将来性を比較してみた。」をご覧ください。

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カスタマーサクセスの業務内容

カスタマーサクセスの業務内容は多岐に渡りますが、主な内容は以下の通りです。

  • オンボーディング:顧客がスムーズに製品やサービスを利用開始できるよう支援
  • トレーニング:製品やサービスの活用方法を指導
  • サポート:顧客からの問い合わせ対応
  • アップセル・クロスセル:顧客のニーズに合わせた追加提案
  • 顧客の声の収集と製品開発チームへのフィードバック
  • ヘルススコア分析:顧客の状態を数値化し、離脱リスクの高い顧客を特定

これらの業務を通して、顧客との良好な関係を構築し、顧客の成功体験を創出することに注力します。

コンサルティングとは

コンサルティングとは

コンサルティングとは、顧客の抱える経営課題や業務課題に対し、専門的な知識やノウハウを提供し、解決策を提示するサービスです。顧客の現状分析から改善策の実行支援まで、幅広い業務を担います。

コンサルティングの意味

コンサルティングは、顧客の業績向上や課題解決を支援することを目的とした専門的なサービスです。経営戦略、業務改善、IT導入など、様々な分野でコンサルティングサービスが提供されています。顧客はコンサルタントの専門知識や経験を活用することで、自社の課題を効率的に解決することができます。

コンサルティングファームは、特定の業界や分野に特化した専門性を有している場合が多く、顧客のニーズに合わせた最適なソリューションを提供します。

コンサルティングの業務内容

コンサルティングの業務内容も多岐に渡りますが、主な内容は以下の通りです。

業務内容詳細
現状分析顧客の現状を詳細に分析し、課題を明確化
戦略立案分析結果に基づき、課題解決のための戦略を立案
実行支援立案した戦略の実行を支援
効果測定施策の効果を測定し、改善策を提案

コンサルタントは、顧客との綿密なコミュニケーションを通じて、最適な解決策を導き出し、顧客の成功に貢献します。また、プロジェクトの進捗管理や関係者との調整なども重要な業務となります。

カスタマーサクセスが普及してきた背景

カスタマーサクセスという職種が近年注目を集めている背景には、ビジネスモデルの変化や顧客を取り巻く環境の変化が大きく影響しています。主な要因として、サブスクリプション型ビジネスの拡大と、製品・サービスだけでは差別化が難しくなった点が挙げられます。

カスタマーサクセスが注目されている背景

CSが注目される背景には
・サブスクビジネスが拡大していることで、継続率を追う必要が高まっていること
・製品で差別化が難しいため、製品を使いこなし成果を出すサクセスの部分が差別化になっていること
・集客コストよりも、サクセスによって顧客を維持したほうがコスパがいいことが分かり始めたこと
などが挙げられる

サブスクリプション型ビジネス市場の拡大

近年、サブスクリプション型ビジネスの急速な成長が多くの注目を集めています。矢野経済研究所の調査によると、国内のサブスクリプションサービス市場は2025年には1兆円を超えるとされています(矢野経済研究所)。企業は販売後も顧客と持続的な関係を築く必要があり、カスタマーサクセスの重要性が増しています。たとえば、SalesforceSmartHRなどの法人向けサービスで、ライフタイムバリュー(LTV)を高めることが重要視されています。

サブスクリプション型ビジネス市場の拡大
矢野経済研究所(2023)より引用

SaaSの普及と顧客維持の重要性

特に、ソフトウェアをインターネット経由で提供するSaaS(Software as a Service)は、サブスクリプション型の代表的なビジネスモデルです。Adobe Creative CloudやSalesforce、Microsoft 365など、様々なサービスがSaaSとして提供されています。これらのサービスでは、顧客が継続的に利用料を支払うことで収益が得られるため、顧客維持(カスタマーリテンション)が非常に重要になります。顧客がサービスの価値を感じられなければ、すぐに解約されてしまうからです。そこで、顧客の成功を支援し、サービスの価値を最大限に引き出す役割として、カスタマーサクセスが重要視されるようになりました。

顧客生涯価値(LTV)の最大化

サブスクリプション型ビジネスにおいては、顧客生涯価値(LTV:Life Time Value)の最大化が重要な経営指標となります。LTVとは、一人の顧客がサービスを利用している期間全体にもたらす利益の合計値です。カスタマーサクセスは、顧客のサービス利用期間を長期化し、アップセルやクロスセルを促進することで、LTVの最大化に貢献します。

製品・サービスだけでは差別化が困難

現代社会においては、製品やサービスの機能や品質だけでは、競合他社との差別化が難しくなっています。顧客体験(CX:Customer Experience)が重視されるようになり、顧客が製品やサービスを利用する過程全体を通じて、いかに満足感や価値を感じてもらえるかが重要になっています。

顧客体験の向上

カスタマーサクセスは、顧客との良好な関係を構築し、顧客の課題解決を支援することで、顧客ロイヤリティの向上に貢献します。顧客がサービスに満足し、ファンになってくれることで、口コミによる新規顧客獲得や解約率の低下につながります。また、顧客から得られるフィードバックは、製品やサービスの改善にも役立ち、更なる顧客体験の向上に繋がります。

要素従来のビジネスモデルサブスクリプション型ビジネスモデル
収益源製品・サービスの販売継続的なサービス利用料
顧客との関係一回限りの取引継続的な関係構築
重視される指標売上高顧客生涯価値(LTV)、解約率
競争優位性製品・サービスの機能・品質顧客体験(CX)

このように、サブスクリプション型ビジネスの拡大や顧客体験の重要性が高まるにつれて、カスタマーサクセスは企業にとって不可欠な存在となり、普及が進んでいるのです。

製品・サービスだけでは差別化が困難になり、付随サービスが重要に

今日のビジネスでは、高品質な製品やサービスは当たり前であり、カスタマーサクセスによる付加価値の創出が競争の鍵となっています。顧客は製品を単に使用するだけでなく、その製品を通じて成果を上げることを期待しています。企業はカスタマーサクセスを通じて顧客の期待を超える価値提供を目指しています。たとえば、Amazon Web Services (AWS)は、ソリューションアーキテクトによる技術サポートだけでなく、カスタマーソリューションマネージャーというポジションがあり、開発から人材育成まで、顧客のビジネス成果へ幅広く関わることで差別化を図っています(BizReach)。

CSM活動概要
AWSブログ(2023) より引用

カスタマーサクセスマネージャーについてをご覧いただくとより詳しく解説しています。

カスタマーサクセスとコンサルの違いを6つの観点から解説

カスタマーサクセスとコンサルティングは、どちらも顧客の成功を支援する役割を担いますが、そのアプローチや手法は大きく異なります。ここでは、目的・役割、課題の範囲、業務内容、KPI、マネタイズ、求められるスキルの6つの観点から、両者の違いを詳しく解説します。

目的・役割:継続利用のCSと、業績向上のコンサル
課題の範囲:製品利用支援のCSと、顧客課題を包括的に見るコンサル
業務内容:自社の型をどううまく適用するか考えるCSと、ゼロベースで考えるコンサル
KPI:継続率・客単価のCSとプロジェクト単価・改善インパクトのコンサル
マネタイズ:契約済み製品・サービスの料金に含まれることが多いCSと、プロジェクトごとに課金するコンサル
求められるスキル:コミュ力×問題解決力のCSと、経営視点×問題解決力のコンサル

目的・役割

カスタマーサクセスの主な目的は、顧客が製品やサービスを通じて価値を実現し、継続利用を促進することです。一方、コンサルティングの主な目的は、顧客の抱える経営課題や業務課題を解決し、業績向上に貢献することです。つまり、カスタマーサクセスは導入済みの製品ありきでの顧客の成功に焦点を当て、コンサルティングは手法を問わず顧客の課題解決に焦点を当てています。

課題の範囲

課題の範囲

カスタマーサクセスが扱う課題は、主に製品やサービスの活用に関する課題に限定されます。例えば、製品の使い方の指導、機能改善の提案、活用事例の紹介などです。一方、コンサルティングが扱う課題は、経営戦略、組織改革、業務プロセス改善など、多岐にわたります。顧客の状況に応じて、幅広い課題に対応することが求められます。

業務内容

カスタマーサクセスの業務内容は、オンボーディング、トレーニング、サポート、アップセル・クロスセルなど、顧客との継続的な関係構築が中心となります。一方、コンサルティングの業務内容は、現状分析、課題特定、解決策の提案、実行支援など、プロジェクトベースで進行することが一般的です。

例えば業務効率化SaaSと、業務効率化コンサルティング(BPR、Business Process Re-engineering)にはこのような違いがあります。

業務効率化SaaSではベストプラクティス(型)が製品に内包されているため
・ツールをどのように使うかの他社事例を共有
・自社製品とクライアントの業務プロセスのギャップを明らかにし、カスタマイズの必要性やオペレーション改善方法の検討を行う

業務効率化コンサルティングは、ゼロベースでベストな形を考えるため
・顧客の業務プロセスを観察し、課題の仮説を出す
・仮説が確からしいか、ヒアリングやデータ分析で特定する
・課題を解決するための方法を複数検討し、ゼロベースで最適なプロセスを設計する
・業務プロセス改善のために必要なコミットメントを経営層からとりつけ、現場とも交渉しながら計画を立て、実行する
・最終的な成果について分析し、報告する
という流れを踏む

KPI

カスタマーサクセスのKPIは、顧客維持率(チャーンレート)、顧客生涯価値(LTV)、顧客満足度(CSAT)など、顧客の成功を測る指標が用いられます。一方、コンサルティングのKPIは、プロジェクトの成果、顧客の業績向上度、契約金額など、ビジネスインパクトを測る指標が用いられます。

問題さえ解決すれば、契約を解消することもあります。

項目カスタマーサクセスコンサルティング
主なKPI顧客維持率、顧客生涯価値、顧客満足度プロジェクトの成果、顧客の業績向上、契約金額
KPIの例チャーンレートの低下、LTVの向上、CSATの向上売上増加、コスト削減、市場シェア拡大

マネタイズ

カスタマーサクセスは、主にプロダクト・サービスのサブスクリプション料金の一部としてマネタイズされます。顧客の継続利用を促進することで、収益を最大化することを目指します。

一方、コンサルティングは、プロジェクト単位または時間単位で料金が発生します。提供するサービスの価値に応じて、料金が決定されます。

求められるスキル

カスタマーサクセスには、コミュニケーション能力、共感力、問題解決能力、製品知識などが求められます。顧客との良好な関係を構築し、顧客の課題を的確に把握し、適切なソリューションを提供することが重要です。

一方、コンサルティングには、論理的思考力、分析力、問題解決能力、業界知識、プレゼンテーション能力などが求められます。顧客の課題を分析し、最適な解決策を提案し、顧客を説得する能力が重要です。

スキルカスタマーサクセスコンサルティング
コミュニケーション顧客との良好な関係構築、ニーズのヒアリング、丁寧な説明クライアントとの交渉、プレゼンテーション、報告書作成
問題解決顧客の製品利用における課題解決、個別対応経営課題の分析と解決策の提案、実行支援
専門知識製品・サービスに関する深い知識、業界トレンドの理解経営戦略、財務分析、業務プロセス改善などの専門知識

このように、カスタマーサクセスとコンサルティングは、目的や役割、業務内容、求められるスキルなどが大きく異なります。しかし、顧客の成功を支援するという共通の目標を持っており、顧客中心の考え方や顧客理解の重要性など、共通する部分も多くあります。近年では、カスタマーサクセスにおいてもコンサルティング的な思考やスキルが求められるケースが増えてきています。

カスタマーサクセスに向いている人

カスタマーサクセスに向いている人

カスタマーサクセスは顧客の成功を支援する仕事であるため、顧客と良好な関係を構築し、顧客の課題を解決するための様々なスキルが求められます。以下では、カスタマーサクセスに向いている人の特徴を具体的に解説します。

コミュニケーション能力が高い

カスタマーサクセスは顧客と密にコミュニケーションを取りながら業務を進めるため、高いコミュニケーション能力が不可欠です。顧客のニーズや課題を正確に理解するために、傾聴力質問力が重要になります。また、顧客に分かりやすく説明する力や、円滑な人間関係を築く関係構築力も求められます。オンラインでのコミュニケーションが主流となる場合でも、メールやチャットツールなどを用いて円滑なコミュニケーションを取れる能力が重要です。顧客との信頼関係を構築し、良好な関係を維持するためには、共感力も必要です。

ホスピタリティが高い

カスタマーサクセスは顧客の成功を第一に考え、顧客に寄り添う姿勢が重要です。顧客の立場に立って物事を考え、顧客にとって最適な提案を行うためには、高いホスピタリティが求められます。顧客の要望に真摯に対応し、期待以上のサービスを提供することで、顧客満足度を高めることができます。顧客の成功を自分の喜びと感じられる人材は、カスタマーサクセスとして大きな成果を上げられるでしょう。常に顧客視点で考え、顧客のために何ができるかを考え続ける献身的な姿勢も大切です。

問題解決力がある

カスタマーサクセスは顧客の課題を解決に導く役割を担うため、高い問題解決能力が求められます。顧客の抱える課題を分析し、最適な解決策を提案するためには、論理的思考力分析力が重要です。また、様々な状況に応じて柔軟に対応できる臨機応変さも必要です。時には、複数の関係部署と連携して問題解決にあたることもあるため、調整力も求められます。原因を特定し、適切な対応策を立案・実行できる能力は、カスタマーサクセスの業務において不可欠です。

キャリア大全編集部

シンプルに話が上手い、自分を犠牲にしても顧客に寄り添う、ということではなく、顧客の成功のために適切なコミュニケーションをとりながら、問題解決に奔走できる人物が向いています。

その他、カスタマーサクセスに向いている人の特徴

上記以外にも、カスタマーサクセスに向いている人の特徴として、以下のようなものが挙げられます。

特徴説明
成長意欲が高い常に新しい知識やスキルを習得しようと努力し、自己成長を続ける姿勢が重要です。市場や顧客のニーズは常に変化するため、変化に柔軟に対応できることも重要です。
責任感がある顧客の成功に責任を持ち、最後までやり遂げる強い責任感が必要です。粘り強く業務に取り組む姿勢が求められます。
チームワークを重視できる他のメンバーと協力して業務を進めるため、チームワークを重視できる人が向いています。良好な人間関係を構築し、チーム全体で顧客の成功を支援していくことが重要です。
ITツールを使いこなせるCRMやSaaSなどのITツールを活用して業務を進めるため、ITリテラシーが高い人が有利です。
データ分析力がある顧客データなどを分析し、課題や改善点を発見する能力も求められます。データに基づいて論理的に思考し、適切な施策を立案できる能力が重要です。

これらの能力は、必ずしも最初から全て備わっている必要はありません。入社後に研修やOJTを通して学ぶことも可能です。顧客志向を持ち、顧客の成功に貢献したいという強い想いがあれば、カスタマーサクセスとして活躍できる可能性は十分にあります。

コンサルティングに向いている人

コンサルティングに向いている人

コンサルティング業務は、顧客の抱える経営課題に対し、専門的な知見や分析力に基づいた解決策を提示し、実行支援を行う仕事です。そのため、コンサルタントには高い専門性や責任感が求められます。コンサルティングに向いている人の特徴を3つの観点から解説します。

経営視点で物事を見られる

コンサルタントは、クライアント企業の経営課題を解決するために、経営者の視点で物事を捉える必要があります。市場動向や競合他社の分析、財務諸表の読解など、経営に関する幅広い知識と理解が求められます。常に全体像を把握し、戦略的に思考できる能力はコンサルタントにとって不可欠です。

具体的には、以下のような能力が求められます。

  • 財務分析力:財務諸表を読み解き、企業の収益性や財務状況を分析する能力
  • 市場分析力:市場動向や競合他社の状況を分析し、ビジネスチャンスやリスクを特定する能力
  • 戦略立案能力:分析結果に基づき、クライアント企業にとって最適な戦略を立案する能力

洞察力と分析力に優れる

コンサルタントは、クライアント企業の抱える課題を正確に把握し、その原因を分析する必要があります。そのため、高い洞察力と分析力が求められます。表面的な情報だけでなく、背景にある要因や関係性を深く掘り下げ、本質を見抜く力が重要です。

例えば、クライアント企業の売上低迷という課題に対して、単に「広告費が少ない」と結論付けるのではなく、市場の縮小や競合の台頭、顧客ニーズの変化など、様々な要因を分析し、真の原因を特定する必要があります。そのためには、データ分析ツールを使いこなすスキルや、論理的思考力、多角的な視点を持つことが重要です。

データ分析力

顧客データや市場データなどを分析し、現状を把握し課題を発見する能力は必須です。Excelはもちろんのこと、SQLやPythonといったプログラミング言語を用いたデータ分析スキルもあれば尚可です。

キャリア大全編集部

カスタマーサクセスでもデータ分析は求められますが、コンサルティングにおいては、そもそもデータが存在せず、どのようにデータを計測するかの設計から入る必要がある場合が多いです。

論理的思考力

複雑な情報を整理し、論理的に思考することで、問題の本質を見抜き、最適な解決策を導き出すことができます。仮説思考も重要です。

キャリア大全編集部

クライアントが辿りつかないような事実や、目を背けたくなる問題について言及することも多いため、「本当にそうなのか?」とクライアントから言われないような論理構成が求められます。

自社の枠組みを超えて問題解決にコミットできる

コンサルタントは、クライアント企業の立場に立って、問題解決にコミットする必要があります。そのため、自社の枠組みを超えて、クライアント企業にとって最適な解決策を提案することが重要です。時には、クライアント企業の慣習や文化を変える必要も出てきます。そのため、強い信念と勇気、そして交渉力も必要とされます。

以下は、コンサルタントが持つべきコミットメントの例です。

項目説明
責任感クライアント企業の成功のために、責任感を持って業務に取り組むこと
主体性指示待ちではなく、自ら課題を見つけ、解決策を提案していくこと
傾聴力クライアント企業のニーズを丁寧に聞き取り、真の課題を理解すること
コミュニケーション能力クライアント企業と円滑なコミュニケーションを図り、信頼関係を構築すること

これらの能力に加えて、常に学び続ける姿勢も重要です。ビジネス環境は常に変化しており、コンサルタントは常に最新の知識やスキルを習得していく必要があります。ビジネス書を読んだり、セミナーに参加したり、資格を取得するなど、自己研鑽に励むことが大切です。また、異業種交流会などに参加し、人脈を広げることも重要です。

カスタマーサクセスにもコンサル的な動き方が求められることもある

カスタマーサクセスにもコンサル的な動き方が求められることもある

カスタマーサクセスとコンサルティングは、それぞれ異なる役割を持つ職種ですが、カスタマーサクセスの現場においてもコンサルタントのような思考や行動が求められるケースが増えています。顧客の成功を支援するという最終目標は同じであるため、双方の領域の境界線が曖昧になりつつあると言えるでしょう。特に、近年はサブスクリプション型のビジネスモデルが普及し、顧客との長期的な関係構築が重視されるようになったことで、カスタマーサクセスが担う役割は多様化し、コンサルティング的なスキルが求められる場面が増加しています。

キャリア大全編集部

カスタマーサクセスとコンサルティングが同じになることは今後もないでしょう。しかし、カスタマーサクセスとして、コンサルタントの持つ能力やスタンスを学ぶことができれば、市場価値は高まるはずです。

顧客の課題を深掘りし、潜在的なニーズを顕在化させる

カスタマーサクセスは、顧客の現状を深く理解し、表面的な課題だけでなく、潜在的なニーズや課題を明らかにする必要があります。これは、コンサルタントが顧客のビジネス課題を分析し、最適な解決策を提案するプロセスと非常によく似ています。顧客との信頼関係を構築し、積極的にコミュニケーションを取ることで、顧客自身も気づいていない課題を顕在化させ、真のニーズを捉えることが重要です。

データ分析に基づいた提案と実行支援

コンサルタントと同様に、カスタマーサクセスもデータ分析に基づいた提案と実行支援を行う必要があります。顧客の利用状況や行動履歴などのデータを分析することで、顧客が抱える課題を特定し、最適な解決策を提案することができます。また、提案だけでなく、顧客がその解決策を実行できるようサポートすることも重要です。例えば、ツールの活用方法を指導したり、ベストプラクティスを共有したりすることで、顧客の成功を支援します。

関係各部署との連携による課題解決

顧客の課題は、単一の部署だけで解決できるものばかりではありません。時には、営業部門や開発部門など、関係各部署と連携して課題解決に取り組む必要があります。カスタマーサクセスは、コンサルタントのように、社内外の関係者を巻き込み、プロジェクトを推進していく能力が求められます。プロジェクトマネジメントのスキルも重要と言えるでしょう。

顧客のビジネス成長に貢献する戦略立案

カスタマーサクセスは、顧客の成功を支援するだけでなく、顧客のビジネス成長に貢献する戦略立案も求められます。顧客のビジネス目標を理解し、製品やサービスをどのように活用すれば目標達成に貢献できるかを考え、提案する必要があります。これは、コンサルタントが顧客の事業戦略を策定するのと類似したプロセスです。

事例:SaaS企業におけるカスタマーサクセスのコンサルティング的役割

課題コンサルティング的アプローチ期待される成果
顧客のSaaSツール活用率が低い顧客の業務フローを分析し、ツール活用における課題を特定。活用促進のためのワークショップを開催し、ツールの効果的な使用方法を指導。ツール活用率の向上、顧客満足度の向上
顧客の解約率が高い解約顧客へのヒアリング調査を実施し、解約理由を分析。顧客のニーズに合わせたサービス改善を提案。解約率の低下、顧客生涯価値の向上
顧客からのアップセル・クロスセルにつながらない顧客のビジネス目標を理解し、追加機能の提案や上位プランへの移行を提案。アップセル・クロスセルによる売上向上

このように、カスタマーサクセスは、顧客の成功を支援するために、コンサルティング的な思考と行動が求められる場面が増えています。顧客との長期的な関係構築を重視する企業において、カスタマーサクセスは重要な役割を担っていると言えるでしょう。特にSaaSのような継続課金型のビジネスモデルでは、カスタマーサクセスがコンサルタントのような役割を果たすことで、顧客のLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)向上に大きく貢献することができます。そのため、カスタマーサクセスを目指す人は、コンサルティングの基礎知識やスキルを身につけることが重要です。

まとめ:カスタマーサクセスとコンサルティングは全くの別職種だが、似た思想を共有しており、未経験ならカスタマーサクセスのキャリアがおすすめ

カスタマーサクセスとコンサルティングは全くの別職種だが、似た思想を共有しており、未経験ならカスタマーサクセスのキャリアがおすすめ

カスタマーサクセスとコンサルティングは、それぞれ異なる職種ですが、顧客の成功を支援するという共通の思想を持っています。コンサルティングは、顧客の課題に対して専門的な知識やスキルを用いて解決策を提示し、顧客の業績向上を支援します。一方、カスタマーサクセスは、顧客が製品やサービスを最大限に活用し、成功を達成できるよう継続的に支援します。

両者の大きな違いは、課題解決へのアプローチです。コンサルティングは、経営課題など広範囲な課題に対し、外部の専門家として関わります。カスタマーサクセスは、製品・サービス活用における課題に焦点を当て、顧客との長期的な関係構築を重視します。また、KPIも異なり、コンサルティングはプロジェクトの完了や成果達成を重視する一方、カスタマーサクセスは顧客の継続利用率やLTV向上を重視します。

未経験者にとって、カスタマーサクセスはコンサルティングに比べて、顧客との関係構築スキルや製品知識を活かしやすい職種です。顧客との良好な関係を築きながら、共に成長していくことにやりがいを感じる方には、カスタマーサクセスのキャリアがおすすめです。

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