この記事では、「カスタマーサクセス」という職種のキャリアパスについて詳しく解説します。特に昨今はスタートアップやベンチャーでのキャリアを考えている人の中で、カスタマーサクセスが注目されています。カスタマーサクセスに興味がある人はぜひご一読ください。
・カスタマーサクセスの仕事内容
・カスタマーサクセスに向いている人の特徴
・具体的なキャリアステップとして考えられるマネージャーやプロダクトマネージャーへの昇進ルート
・カスタマーサクセスの求人市場の動向
・平均年収
・キャリアの成功事例
カスタマーサクセスとは
カスタマーサクセスとは、顧客が自社提供の製品やサービスを最大限に活用し、その価値を最大化することで顧客の目標達成を支援する重要な業務を指します。この取り組みは、顧客と企業の間における長期的な関係構築を目指し、単なる製品販売やサポートを超越した価値提供を行うことが求められます。
昨今、サブスクリプション型ビジネスモデルの普及がこの概念の重要性をより一層高めています。顧客が継続的に製品またはサービスを利用し続けることが企業の収益へと直結している現在、顧客満足度の向上が企業の成績を決定づける重要な要素となっています。これにより、カスタマーサクセスの必要性はますます増しています。
カスタマーサクセスは、顧客のニーズを深く理解し、積極的にサポートやアドバイスを提供します。このプロセスにおいては、データ分析を活用し顧客の利用状況を細やかにモニタリングし、個々の顧客に最適なアクションプランを提案することが求められます。
「カスタマーサクセスに向いている人とは?」についてまとめているので、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
カスタマーサクセスの役割と主な業務内容
役割 | 主な業務内容 |
---|---|
オンボーディング | 新規顧客が円滑に製品を使用開始できるようサポートすること |
アダプション | 顧客が製品・サービスを日常的に活用できるように支援すること |
エクスパンション | 顧客との関係性を深め、ビジネス拡大の機会を創出する |
ユーザーコミュニティの運営 | 顧客のベストプラクティスの共有や、情報交換の促進のためのイベント運営 |
カスタマーサクセスの業務は非常に多岐にわたりますが、その中心にあるのは顧客成果の追求です。SalesforceやAdobeといったグローバル企業はカスタマーサクセスの重要性を早くから提唱しており自社でも実践しています。国内の事例としては、Sansan株式会社やfreee株式会社が顧客の利用状況のスコアリングを実施し、成果を上げています。(Virtualex)
さらに、BOXILが行った調査によると、カスタマーサクセスが主に関わるSaaSの日本市場の規模は年平均成長率12.5%で拡大しており、2026年度には1.7兆円規模に達すると予測されています。カスタマーサクセスはビジネス環境においてますます重要な役割を果たしており、関連する仕事やキャリアも成長の一途を辿ることが期待されています。
「未経験でカスタマーサクセスに転職するには?」にテーマについてまとめているので、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
営業や接客経験者からCSへのキャリアチェンジが増えている
昨今、カスタマーサクセス業界において異業種からのキャリアチェンジが注目されています。特に、営業や接客経験者がこの分野へ転身する傾向が見られます。営業・接客と、カスタマーサクセスはどちらも顧客折衝を通じてビジネスを推進するという共通点があるため、転職しやすいと考えられます。
営業職との違いについて気になった方は営業とカスタマーサクセスの違いや連携ポイントについても併せてご覧ください。
なぜ営業や接客経験者がカスタマーサクセスを選ぶのか
営業や接客業は、顧客のニーズを正しく理解し、関係を築く力を養う場です。これらのスキルはカスタマーサクセスにおいて非常に役立ちます。カスタマーサクセスでは、顧客の満足度を高め、深い信頼関係を築くことで継続的な取引を促進します。営業・接客経験者はすでにこのようなスキルを持ちあわせており、新しい役割に迅速に適応します。
営業や接客からカスタマーサクセスに転職する際、多くは以下のスキルを活用します:
- 顧客とのコミュニケーション能力: カスタマーサクセスでは、顧客の声を的確に捉えることが求められます。
- 問題解決能力: 日々の業務で直面する様々な問題を解決する能力は、カスタマーサクセスでも重視されます。
営業や接客からカスタマーサクセスへのキャリアチェンジの実態
これまでの経験を活かし、ITのスキルを身につけるべく転職するパターンが見られます。また、数値を追ったセールス経験者が、その先の顧客貢献を志向するパターンもあります。
キャリアチェンジの理由 | 詳細 |
---|---|
顧客との関係構築力を生かして、スタートアップ・ベンチャーで働きたい | 継続的な関係構築が得意な営業担当者は、顧客との長期的な関係を重視するカスタマーサクセスに向いています。 |
ITの知識をつけたい | カスタマーサクセスは、顧客に対応しながら自社の製品について詳しくなることができるため、ITの知識を身につけるのにうってつけです。 |
売った先の顧客に貢献したい | 売上を負う仕事を長くしていると、その先の顧客への貢献に目が向く場合もあるようです。 |
カスタマーサクセス転身の成功事例
実際にキャリアチェンジを果たし、成功を収めた事例をいくつか紹介します。
- 営業職から転身したA氏は、顧客ニーズに応じた解決策の提供方法を改善し、顧客満足度の向上に寄与しました。
- 接客業からカスタマーサクセスに移行したB氏は、コミュニケーションスキルを駆使して顧客との信頼関係を築きました。
背景には、顧客の視点に立った業務が重視されることが多く、営業・接客業で培われた能力がそのスキルセットに直結するからです。また、市場においてカスタマーサクセスの重要性が広く認識され始めたことも、転職を考えるきっかけとなっています。
カスタマーサクセスの詳細な仕事内容
カスタマーサクセスの職務は、顧客が製品やサービスを最大限に活用するための支援を行うことです。顧客満足度を向上させ、継続的な価値提供を図るために様々な役割を担います。以下に代表的な仕事内容を詳しく説明します。
顧客とのコミュニケーション
カスタマーサクセスは、顧客と継続的なコミュニケーションを通じて関係を構築します。これにより、顧客の要望や問題点をいち早く把握し、適切なサポートを提供します。具体的には、定期的なレビューやフィードバックを収集し、製品やサービスの改善に役立てることが必要とされています。また、顧客ごとの利用状況を確認し、現状に即したアドバイスを行うことも重要です。
製品のオンボーディングサポート
新規顧客が製品やサービスを正しく使い始めるために必要なサポートを提供します。オンボーディングプロセスの支援は、顧客が迅速にシステムに慣れ、効果的に活用できるようにするための重要なステップです。具体的な取り組みとして、チュートリアル、ウェビナー、専用資料の提供、Q&Aセッションの実施などがあります。このプロセスによって、顧客が初期段階でつまずかずにスムーズに製品を活用できるよう、様々な側面でサポートを行います。
顧客の利用状況のモニタリング
顧客が製品やサービスをどのように利用しているかをリアルタイムで把握し、潜在的な問題を早期に発見して対処します。これには、利用状況のデータ分析とフォローアップが含まれ、顧客が期待する成果を達成するための手助けをします。特に、顧客のビジネス成果を向上させるための提案を行い、問題が発生する前に対応することでトラブルを未然に防ぎます。例えば、利用データを分析し、使用頻度や機能の利用度の低下を把握することで、問題の根本原因を突き止め、適切な支援を提供します。
既存顧客へのクロスセル・アップセルの企画提案
顧客の利用状況を注意深く分析し、クロスセルとアップセルの機会を創出します。これにより、顧客にさらなる価値を提供し、彼らが持つ潜在ニーズを満たすことが求められます。具体例として、既存のサービスに関連する新製品の提案や、アップグレードプランの紹介などが挙げられます。これにより、顧客ライフタイムバリューを最大化し、企業の成長に寄与することができます。大切なのは、顧客に提供する価値をさらに高めることで、顧客自身の成功をバックアップすることです。
カスタマーサクセスに向いている人のスキル・特徴
カスタマーサクセスに向いているのは、多岐にわたるスキルセットを持つ人物です。これらのスキルによって、顧客が製品やサービスを最大限に活用できるようサポートし、結果的に会社全体の成長を促す役割を果たします。
カスタマーサクセスに向いている人についても詳しく解説しているのぜひご一読ください。
共感力とコミュニケーション能力
顧客のニーズを理解し、共感し、効果的に伝える能力がカスタマーサクセスの成功には必須です。例えば、ある顧客が新しいソフトウェアに不安を感じている場合、共感力のある担当者は顧客に安心感を与えつつ問題解決策を提示できます。優れたコミュニケーション能力を備えた担当者は、クリアで感動的な顧客体験を創出し、信頼を醸成します。
問題解決能力と分析力
クリティカルシンキングと分析力により、顧客の問題を迅速に特定し対応することが可能です。具体例として、製品の利用解析を通じて顧客の行動パターンを理解し、根本的な課題を特定することが挙げられます。これにより、高い顧客満足度を実現できるでしょう。さらに、マッキンゼーの研究では、データ分析が顧客ロイヤルティに与える影響が述べられています。
自律性・時間への厳密さ
カスタマーサクセス担当者は複数のプロジェクトを同時管理することが一般的です。そのため、高い自律性と優れた自己管理能力が求められます。例えば、あるプロジェクトが期限付きのものである場合、担当者はしっかりとしたタイムマネジメントを行い、効率的にプロジェクトを完遂する必要があります。
テクノロジーへの理解
現代のビジネス環境では、SaaSやクラウドサービスなどの最新テクノロジーへの高い理解が求められます。この知識は、顧客が技術の利点を最大限に活用する手助けとなり、サポートの質を向上させる役目を果たします。具体例として、クラウドベースのシステムを使用して顧客のデータを管理し、その活用方法を指導することが考えられます。このテーマについてはハーバード・ビジネス・レビューの記事でも詳述されています。
スキル | 必要性 | 具体例 |
---|---|---|
共感力とコミュニケーション能力 | 顧客と強固な関係を構築するために必須 | 顧客の感情に寄り添い、適切なソリューションを提案 |
問題解決能力と分析力 | チャレンジに迅速に対応し、高品質のソリューションを提供 | データ分析による顧客行動の理解と課題特定 |
自律性と自己管理能力 | プロジェクト管理と効率的な業務遂行に不可欠 | 自主的なスケジュール管理と日次・週次の目標設定 |
テクノロジーへの理解 | テクノロジーを活用した顧客サポート向上 | 最新のSaaS技術を駆使して顧客の課題を解決 |
カスタマーサクセスはどんな人が向いているか
・セールス職:顧客とのコミュニケーションスキル・問題解決能力が重宝される
・接客業:豊富な接客経験による高いホスピタリティ精神と柔軟な対応力が重宝される
・コンサルタント:高度な分析力と戦略的視点を活用し、顧客課題を的確に対応できる能力が重宝される
カスタマーサクセスは顧客の成功をサポートする職種で、幅広いスキルが求められます。成功に向けた支援を通じて、企業と顧客の関係を築き上げることが使命です。顧客の満足度を高めるためには、多様なバックグラウンドを持つ人材が貴重な存在となります。ここでは、特に向いているとされる人材の特徴やスキルを詳しく解説します。
セールス経験者
セールス経験者は、カスタマーサクセスとして非常に有利です。なぜなら、顧客とのコミュニケーション能力と問題解決能力を既に磨いているからです。これにより、顧客のニーズを深く理解し、適切なソリューションを提案する力を持っています。また、セールスの経験によってビジネスの全体像を把握し、顧客の課題を的確に見抜くスキルが向上しています。このスキルセットは、カスタマーサクセスにおいても非常に活用されます。さらに、セールスの実践から得たデータ分析能力は、顧客の行動パターンや傾向を理解する上で有利になります。
例えば、過去にIT関連のソフトウェアを販売していた場合、技術的な理解力が高いため、カスタマーサクセスの導入プロセスでも迅速に対応が可能です。顧客のフィードバックを基にプロダクト改善の提案を行い、結果として顧客維持率を向上させた事例も多く存在します。
接客経験者
接客経験者は、多数の顧客と接することで鍛えられたホスピタリティ精神と柔軟な対応力を有しているため、カスタマーサクセスの業務にぴったりです。彼らは、顧客体験の向上に大きく貢献できます。過去の経験から、顧客の要望を迅速に理解し、サポートする方法を熟知しています。柔軟な対応力は、特に多様なニーズを持つ顧客に迅速に対応する際に強みとなります。ホテル業界などで培ったおもてなしの心は、顧客からの信頼を獲得するのに不可欠です。
例えば、リスク管理の一環として急な変更にも対応可能なフレキシブルシフトシステムを導入し、業務効率を改善した経験が活きることがあります。結果的に、顧客の問題を速やかに解決し、満足度を向上させる役目を果たします。
コンサルタント
コンサルタントは、ビジネスの深層に根ざした課題を分析し解決策を提案するスキルに長けています。カスタマーサクセスの現場においても、彼らの強みが大いに発揮されます。特に分析力と戦略的思考力は、顧客のビジネスモデルや問題点を掘り下げて理解し、継続的なソリューションを提供する点で非常に重要です。顧客の新たな価値創出をサポートし、企業全体の成長を促進するのに役立ちます。
例えば、大規模プロジェクトの管理や複雑な課題に対する革新的な解決策を考案し、成功に導いた事例が多々あります。これによりカスタマーサクセスの成果を最大化し、顧客と企業の長期的な関係構築に貢献しています。
職種 | 向いている理由 |
---|---|
セールス | 顧客とのコミュニケーションスキルが磨かれ、問題解決能力に優れる。 |
接客 | 豊富な接客経験による高いホスピタリティ精神と柔軟な対応力を備えている。 |
コンサルタント | 高度な分析力と戦略的視点を活用し、顧客課題を的確に対応。 |
これらのバックグラウンドを持つ人々は、カスタマーサクセスの役割を通じて顧客満足度の向上に大きく寄与します。複数の業種からのスキルを融合することで、顧客との長期的な関係構築を可能にし、企業の価値を高めることができます。
カスタマーサクセスのキャリアパス
・カスタマーサクセスのスペシャリストとして、カスタマーサクセスマネージャーに
・顧客と接渉しながら推進する能力を活かし、プロジェクトマネージャーに
・顧客と製品機能の深い理解を活かし、プロダクト企画職(PdM、PMM)に
・セールス組織との折衝経験を活かし、営業企画に
カスタマーサクセスのキャリアパスは多様であり、それぞれ自分の強みや興味を活かしながら発展できる機会が豊富です。カスタマーサクセスマネージャーからPMまで、さまざまな役職が用意されています。これらの役職は、異なるスキルセットと視野を広げることができ、キャリアにおける自己成長をサポートします。以下では各役職について詳しく説明します。
カスタマーサクセスマネージャー
カスタマーサクセスマネージャーは、カスタマーサクセスの重要な役割を果たし、チームを牽引します。リーダーシップとコミュニケーション能力が必要不可欠であり、クライアントの成功を効果的に導くための戦略的思考が求められます。さまざまなプロジェクトを通じ、顧客の目標達成を支援し、ビジネスの成長に貢献します。いわゆるマネジメント職ですが、ピープルだけでなく、企画や分析の要素も求められ、カスタマーサクセスとしての総合戦闘力を求められるポジションです。外資系企業などではカスタマーサクセスマネージャーの年収が高く、重宝されるかもしれません。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーは、プロジェクトを計画し、リソースを管理し、効果的に成果を達成する責任を持ちます。計画策定能力と調整力が特に重要で、チームを適切に導く役割が期待されます。顧客のニーズを正確に把握し、期限内にプロジェクトを完成させることが求められます。カスタマーサクセスは期日、緊急度と日々戦いながら、顧客の成功にコミットする仕事のため、シナジーがあると言えるでしょう。
PdM(Product Manager)・PMM(Product Marketing Manager)
PdMやPMMは、プロダクトのライフサイクル全般に関わり、製品の開発およびマーケティング戦略を担当します。カスタマーサクセスは、顧客の要望を通して、自社のプロダクトを深く知ることができるため、豊富な商品知識と顧客視点を活かし、専門性の高いキャリアへの道がひらけます。
営業企画
営業企画の担当者は、ビジネスの成長戦略を構築し、市場のトレンドを分析して価値提案を策定します。価値提案の構築能力が重要で、企業の競争力を高める役割を果たします。セールス組織と渡り歩く能力
役職 | 主なスキルセット |
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カスタマーサクセスマネージャー | リーダーシップ、コミュニケーション、戦略的思考 |
プロジェクトマネージャー | 計画策定能力、調整力 |
PdM・PMM | 顧客理解に基づいた製品の設計・開発推進力 |
営業企画 | 価値提案の構築 |
以上のようにカスタマーサクセス業界では、多岐にわたるキャリアパスが可能であり、自分の経験を活かしながら高度な専門性を身につけることで、プロフェッショナルな成長を促進することができます。これにより、持続可能なキャリアを築くための基盤を形作ることが可能です。
カスタマーサクセスの求人は増加傾向
カスタマーサクセスの求人は増加傾向にあります。これは顧客満足度を向上させ、企業の持続的な成長を目指す企業戦略の一環です。特に、SaaS(Software as a Service)産業やサブスクリプションモデルを採用する企業では、顧客との強固な関係構築が事業拡大のキーです。なぜなら、これらのモデルは顧客の継続的な利用を前提としており、既存顧客の満足度が高ければ高いほど、離脱率を下げ、売上を向上させることができるからです。dodaの調査によると、カスタマーサクセスを含む”新しい時代に求められる営業職”の求人比率は3年間で4倍にまで膨らんでいます。
なぜカスタマーサクセス求人は増加しているのか
カスタマーサクセス求人が増加している背景には、いくつかの重要な要因があります。まず、企業が顧客満足度の向上を企業成長の要と認識していることがあります。多くの企業が新規顧客の獲得よりも、既存顧客との長期的な関係を重視する傾向にあり、これは特に市場成熟期において顕著です。
さらに、デジタルトランスフォーメーションの進展により顧客データの収集と分析がより効率的に実施可能となったことも、カスタマーサクセスの役割を一層強化しています。これにより、企業は顧客の利用状況を詳細に把握し、ニーズに応じたタイムリーなサポートを提供できるようになっています。このプロセスは、顧客満足とリテンション(維持)の向上に直結します。
優れたカスタマーサクセスの導入により実際に成功している企業の事例としてSmartHRはカスタマーサクセスにより、99.5%の継続率を誇っています(Markezine)。このような事例から、多くの企業が専門のチームを結成し、カスタマーサクセス戦略の策定と実施に積極的に取り組んでいます。
カスタマーサクセスの平均年収
カスタマーサクセスの職種は、昨今のビジネスシーンにおいてますます注目が高まっており、その平均年収にも関心が寄せられています。こちらの業種は、業種、企業規模、勤務地により年収に大きな差異が見られることが一般的です。日本国内でのカスタマーサクセス職の平均年収は約530万円ほどです。ただし、経験豊富なカスタマーサクセスマネージャーやプロジェクトリーダーの役職を持つ人材の場合、年収は700万〜900万円を超えるケースもあり、外資系では1000万円を超えることもあります。
年収を左右する要因としては、個人のスキルセット、過去の実績、企業独自の報酬体系の3つが主に挙げられます。
詳しくは「カスタマーサクセスの年収は?」をご参照ください。
カスタマーサクセスでキャリアを積み上げた人の事例
事例1. オフィス用品の営業→ITベンチャーでの営業・IS→CS
note:【INTERVIEW / CS】誰一人取り残されない学びの実現に向け、Monoxerから教育を変えていく
元々営業職に就いていた方のキャリアパスです。新規開拓の営業経験で新人賞を取った後、IT系のベンチャー企業で営業、インサイドセールスを経て、CSにキャリアチェンジし、プランニングやイネーブルメントを含む企画職を経験されたようです。
“「プロダクトに魅了され『この価値を世の中に広めたい』と感じた」”
“これまでの知見を活かしてプロダクトをより良いものにしていきながら届けていく、組織を作っていくことに関与できる、そのような機会があるところで働いてみたい”
“社会的にインパクトある事業や業界に携わりたい”
事例2. 金融機関の法人営業→AIスタートアップのCS→ITベンチャーのCS
note:【RevComm社員Story】カスタマーサクセスとしてのキャリアを極める。経験者が語る、レブコムのカスタマーサクセスのやりがい
金融機関の法人営業として、スタートアップに関わり、ご自身も挑戦をしたいと考えてスタートアップのCSで、立ち上げに携わった方の事例です。CS組織の立ち上げを経て、さらに顧客への事業成長にコミットできるプロダクトがあり、自分も成長できるフェーズの企業へCSとして転職しています。
・”スタートアップ企業のお客様と関わることが多かったです”
・“同世代の方々が自社の事業について目を輝かせて語る姿や、責任ある重要なポジションで活躍されている姿がとても印象的でした”
・”大手企業の安定した環境を離れるのは勇気が必要でしたが、成長のために挑戦を決意”
・”よりダイレクトにお客様の事業成長に貢献できるプロダクトに関わりたいと思った”
・”私自身がカスタマーサクセスとしてキャリアを深めていくために、もう少し規模が大きく、今後もアクティブに変化していくような組織の中で経験を積みたいという想いもありました。”
カスタマーサクセスの採用に力を入れている有名企業5選
カスタマーサクセスは企業が顧客と長期的な関係を築くための重要な役割であり、近年、日本国内でも多くの企業がその力を最大限に活用しています。ここでは、カスタマーサクセスの採用に特に力を入れている日本国内の有名企業を5つ紹介します。
株式会社freee
クラウド会計ソフトを手がけるfreeeは、特に中小企業向けに特化したカスタマーサクセスチームを編成し、実践的かつプロフェッショナルなサポート体制を整えています。ユーザーが製品を効果的に活用できるよう、学習教材や定期的なセミナーも積極的に開催しています。
「カスタマーサクセス」の求人の中には下記のような求人が見受けられました。
想定年収 | 想定年収:5,700,000円~10,008,000円 ご経験と能力等に応じて個別に決定いたします |
業務内容 | 企業ミッションである「スモールビジネスを、世界の主役に。」の実現に向けて、カスタマーサクセスには、一社一社の顧客課題に向き合いながらも、日本企業の99%を占める中小企業に広く価値を届け切れるだけのスケーラブルな事業設計を実現することが期待されています。 セールスチームが獲得したクライアントがバックオフィスの煩雑さから解放され、創造的な活動にフォーカスできるよう、決まった計画や実行ではなく自ら策定しながら、導入に伴う業務フローの再構築や継続的な活用促進を担っていただきます。 |
SmartHR
SmartHRは人事労務領域のSaaSを提供している企業です。エンタープライズでの導入も多く、業務プロセスの改善から日々の活用までを担うカスタマーサクセスの採用に注力しています。カスタマーサクセス専用の採用ページが存在し、その注力は本物と言えるでしょう。
「カスタマーサクセス(ID/IdP領域担当)」として下記のような求人が見られました。
想定年収 | 想定年収例 467万6,000円〜1,050万円 当社規定に応じて、スキルによって個別に等級と金額を決定します。 |
業務内容 | ▼ミッション SmartHRのID管理領域/IdP機能の売上の最大化およびサクセスを実現する ▼役割 ID/IdP機能をインストール・ご契約いただいた顧客に対してカスタマーサクセスを行っていただきます。 【職務概要】 ・SmartHRのID/IdP機能をご契約中のお客様に対してカスタマーサクセスを行っていただきます。 ・お客様が目指す状態の実現に向けて必要なアクションや機能の提案を行っていただきます。 ・お客様のサクセスの実現の過程で得た知見を、今後多くのメンバーが実行できる仕組みに還元していただきます。 【新規事業立ち上げポジション】 新規事業の新たな取り組みとして組織立ち上げての動きとなります。 カスタマーサクセスとしての活動のみならず |
株式会社マネーフォワード
マネーフォワードはフィンテック領域で革新を進め、顧客のライフスタイルに合わせたパーソナライズドサポートを重視しています。同社のカスタマーサクセスチームは、ユーザーの声を丁寧に吸い上げ、プロダクト改善に反映しています。
「カスタマーサクセス」の求人について下記のようなものが見受けられました。
想定年収 | 年収 500万円 〜 850万円 |
業務内容 | 私たちのチームでは、人事労務プロダクトを導入中のお客様に対して、提案型の支援を行い、製品の最大限の活用をサポートします。また、お客様の声を正確に把握し、製品開発に反映させることで、サービスの継続的な改善を推進します。 その上で、サービスのエバンジェリストとして、お客様と開発チームをつなぐ重要な役割を担っていただきます。 |
まとめ
カスタマーサクセスの魅力は、顧客の成功に直接関われることです。単なる問い合わせ対応ではなく、データを活用しながら顧客の課題解決を支援し、長期的な関係構築を担う重要な職種として確立されています。特に、SaaS業界の成長に伴い、その需要は年々高まっています。
キャリアパスも、カスタマーサクセスマネージャー、プロダクトマネージャー、営業企画など、多様な選択肢があります。年収面では、経験や役職に応じて500万円から1000万円以上まで期待できます。必要なスキルとしては、コミュニケーション能力や問題解決力に加え、データ分析力やテクノロジーへの理解も重要です。ただし、これらは実務を通じて徐々に身につけていけるため、意欲的に学ぶ姿勢があれば十分にチャレンジ可能な職種と言えるでしょう。
freeeやSmartHR、マネーフォワードなど、急成長中の企業が特に注力している分野であり、今後も企業のサブスクリプションモデルへの移行や顧客体験重視の流れが強まる中で、さらなる発展が期待されています。顧客の成功をサポートしながら、自身のキャリアも成長させていける魅力的な職種として、ぜひキャリアプランの選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。