キャリアアドバイザーの転職を考えている方、または現在キャリアアドバイザーとして働いている方は、「ノルマ」というキーワードが気になるのではないでしょうか。
キャリアアドバイザーの仕事は、求職者の転職支援という社会貢献性の高い仕事ですが、同時に売上目標やノルマが存在するのも事実です。このノルマのプレッシャーから、疲弊してしまったり、転職を考えてしまうキャリアアドバイザーも多いです。
この記事では、現役キャリアアドバイザーの視点から、キャリアアドバイザーのノルマの実態を詳しく解説します。売上ベースのノルマはもちろんのこと、決定人数、決定単価、決定率、面談数といったKPIについても触れ、キャリアアドバイザーの仕事の全体像を理解できるように構成しました。
また、転職活動において、企業のノルマや評価指標をどのように確認すれば良いか、そのポイントについても解説しています。この記事を読むことで、キャリアアドバイザーのノルマに対する不安を解消し、転職活動や今後のキャリアを考える上で有益な情報を得られるでしょう。転職エージェントの選び方や、より良い転職活動を進めるためのヒントにも繋がる内容となっています。
・キャリアアドバイザーのノルマ
・転職時のポイント
キャリアアドバイザーのノルマ
キャリアアドバイザーのノルマは、所属する企業やサービス形態、個人の役割によって大きく異なります。しかし、多くの場合、何らかの数値目標が設定されており、その達成度合いが評価に繋がる仕組みとなっています。
キャリアアドバイザーの主なノルマ形態は、売上ベース、活動量ベース、そして両者を組み合わせた複合型です。
売上ベースとは、求職者の転職成功によって発生する手数料収入を基準としたノルマで、活動量ベースは面談数や求人紹介数といった活動量を基準としたノルマです。複合型は、売上と活動量の両方をバランス良く評価するノルマ形態です。
基本的には売上ベースで数値を持つ場合が多い
多くの転職エージェントでは、収益に直結する売上ベースのノルマが設定されているケースが多いです。これは、転職が成立した際に企業から支払われる手数料をベースに計算されます。
手数料は、転職者の年収の一定割合で設定されていることが一般的です。そのため、キャリアアドバイザーは、より高年収の求職者の転職を成功させることで、高い売上を達成することができます。
高年収帯の求人を多く扱うエージェントでは、キャリアアドバイザー個人の売上目標が高く設定される傾向があります。 一方で、第二新卒や若年層向けの転職支援サービスでは、売上目標は比較的低く設定されている場合もあります。
KPIに分解した時のノルマ
売上ベースのノルマは、さらに細かいKPI(重要業績評価指標)に分解されることで、日々の活動目標として管理されます。主なKPIには、決定人数、決定単価、決定率、面談数などがあります。
決定人数
決定人数とは、一定期間内に転職を決定した求職者の人数を指します。決定人数は、キャリアアドバイザーの活動量と求職者へのサポートの質を測る指標となります。内定から、内定承諾を基本的には決定数として追っている場合があります。
決定単価
決定単価とは、転職が決定した求職者の平均年収を指します。決定単価は、キャリアアドバイザーが担当する求職者の層や、紹介する求人の質を反映します。
相場としては年収の30~40%が手数料とされるパターンが多い(詳細な規定は厚生労働省のドキュメントから確認可能)ですが、転職難易度の高い求人ほど手数料利率が高くなる傾向にあります。
決定率
決定率とは、面談した求職者のうち、実際に転職を決定した人の割合を指します。決定率は、キャリアアドバイザーのカウンセリング能力や求人マッチングの精度を測る指標となります。
面談数
面談数とは、一定期間内にキャリアアドバイザーが実施した面談の回数を指します。面談数は、キャリアアドバイザーの活動量を測る基本的な指標となります。
オンライン面談や電話面談なども含まれる場合があり、企業によって定義は異なります。
私はCAとして月間30名ほど新規面談を担当しており、それ以外は求職者さんのフォロー面談・面接対策の面談を行なっていました。
そのほか管理される数値
売上やKPI以外にも、キャリアアドバイザーの業務において管理される数値は存在します。主なものとして、フォロー面談数や進捗管理状況などが挙げられます。
フォロー面談数
フォロー面談数とは、転職活動中の求職者に対して行うフォロー面談の回数を指します。定期的なフォロー面談は、求職者との良好な関係構築に繋がり、転職成功率の向上に寄与します。面接対策の面談もここに含まれる場合があります。
進捗管理
進捗管理とは、求職者の転職活動の進捗状況を適切に把握し、必要なサポートを提供することを指します。応募書類の作成支援、面接対策、企業との連絡調整など、多岐にわたる業務が含まれます。
適切な進捗管理は、求職者の転職活動をスムーズに進める上で非常に重要です。
KPI | 説明 | 重要性 |
---|---|---|
決定人数 | 一定期間内に転職を決定した人数 | 活動量とサポートの質を示す |
決定単価 | 転職決定者の平均年収 | 担当求職者層と求人の質を示す |
決定率 | 面談者のうち転職決定者の割合 | カウンセリング能力とマッチング精度を示す |
面談数 | 一定期間内に実施した面談回数 | 活動量の指標 |
キャリアアドバイザーの具体的な業務内容についても解説していますのでぜひご一読ください。
転職時のポイント
キャリアアドバイザーへの転職を検討する際に、ノルマや評価指標に関する情報は、入社後のミスマッチを防ぐために非常に重要です。企業によってその内容は大きく異なるため、面接時などに必ず確認しておきましょう。確認すべきポイントは以下の通りです。
評価指標としてのノルマ・達成指標の水準を聞いておく
キャリアアドバイザーの評価は、売上や決定人数などのノルマ達成度合いが大きな割合を占めることが多いです。
そのため、目標とする数値の水準や、その根拠を事前に確認しておくことが重要です。高い水準のノルマを課している企業では、未達の場合のペナルティについても確認しておきましょう。
また、売上だけでなく、顧客満足度や面談数なども評価指標に含まれるかどうかも確認しておくと、企業の重視する点が分かります。
ノルマの達成率を聞いておく
企業全体のノルマ達成率や、既存社員の平均的な達成率を尋ねることで、ノルマの現実的な達成可能性を判断できます。
達成率が低い場合は、ノルマ設定が高すぎる、サポート体制が不十分、市場環境が悪いなどの可能性が考えられます。これらの要因についても合わせて質問することで、より深く企業の実態を理解できます。
ノルマの変動があるかを確認する
ノルマは四半期ごとや年度ごとに変動する可能性があります。変動の有無やその基準、変動幅などを確認することで、将来的なキャリアプランを描きやすくなります。また、景気の変動や会社の業績によってノルマが大きく変わる場合、安定した収入を得ることが難しくなる可能性もあります。変動リスクについても確認しておきましょう。
私が所属していた企業はベンチャー企業だったので、四半期レベルで目標が引き上がっていきましたね。
インセンティブの有無を確認する
多くの企業では、ノルマ達成に対するインセンティブ制度を設けています。人材紹介を営む企業の場合は、決定単価の何割かをそのままインセンティブ置いている場合もあります。
インセンティブ制度は、企業の業績や個人のパフォーマンスに連動している場合が多いので、その仕組みについても詳しく聞いておきましょう。
確認事項 | 確認内容 | 確認する理由 |
---|---|---|
評価指標 | 売上、決定人数、顧客満足度、面談数など | 企業の重視する点、自身の強みとのマッチングを確認するため |
ノルマの水準 | 目標値、根拠、未達時のペナルティ | 達成可能性、リスクを判断するため |
ノルマの達成率 | 企業全体、既存社員の平均 | ノルマの現実的な達成度合いを把握するため |
ノルマの変動 | 変動の有無、基準、変動幅 | 将来的なキャリアプランを描きやすくするため |
インセンティブ | 種類、支給額、支給条件 | モチベーション維持、収入アップの可能性を判断するため |
これらのポイントを事前に確認することで、キャリアアドバイザーという仕事への理解を深め、自分にとって最適な企業選びに繋げることができるでしょう。転職活動は、企業と求職者がお互いを知るための貴重な機会です。
積極的に質問し、疑問点を解消することで、入社後のミスマッチを防ぎ、長く活躍できる環境を見つけることができるはずです。
まとめ
この記事では、キャリアアドバイザーのノルマについて、現役CAの視点から解説しました。キャリアアドバイザーのノルマは、基本的には売上ベースで設定される場合が多く、決定人数、決定単価、決定率、面談数といったKPIに分解されます。その他、フォロー面談数や進捗管理といった数値も管理されているケースが多いです。
転職活動においては、これらのノルマやKPIを事前に確認しておくことが重要です。企業の評価指標や達成指標の水準、ノルマの達成率や変動の有無、インセンティブの有無などを質問することで、企業の体質や働きやすさを判断する材料になります。
また、過度なノルマを課す企業は、コンプライアンス意識が低い可能性もあるため注意が必要です。自分にとって働きやすい環境かどうかを見極めるためにも、転職エージェントとの面談時などに積極的に質問してみましょう。