この記事では、現役キャリアアドバイザーの私が、キャリアアドバイザーの仕事内容から、向いている人、向いていない人の特徴、さらに具体的な仕事内容やキャリアコンサルタントとの違いまで、分かりやすく解説します。
この記事を読めば、求職者との面談から入社後のフォローまで、多岐にわたるキャリアアドバイザーの業務内容を理解することができ、この仕事の魅力と難しさが見えてきます。また、共感力やコミュニケーション能力の高さといった、キャリアアドバイザーとして活躍するために必要な資質についても詳しく説明します。
キャリアアドバイザーとは?
キャリアアドバイザーとは、求職者に対して就職活動のサポートを行う職業です。
仕事内容は多岐に渡り、求職者の希望や適性に応じた求人の紹介から、応募書類の作成指導、面接対策、さらには企業との条件交渉や入社後のフォローまで、就職活動全体を支援します。
厚生労働省が管轄する「職業紹介事業」に該当し、事業を行うには許可が必要となります。
つまり、基本的にキャリアアドバイザーという職種が存在するのは「人材サービスを営む企業」であり、その中でも職業紹介許可を持っている企業になります。
最も大手として知られる人材系企業にリクルートがありますが、それ以外にもパーソルやマイナビなど、人材企業には大手企業も多く、また就職や転職の際に耳にする企業が多いのではないでしょうか。
しかし、厚生労働省のデータによると、令和4年度では日本において有料職業紹介許可を持っている事業所は28,104個あり、人材系の企業は国内においても大変多くなっています。
キャリアアドバイザーの業務内容
キャリアアドバイザーの業務内容は非常に多岐に渡ります。主な業務内容は以下の通りです。
業務内容 | 詳細 |
---|---|
1.求職者との面談 | 求職者の希望や適性、スキル、経験などを丁寧にヒアリングします。転職理由やキャリアプランなども重要な情報です。 |
2.求人の紹介 | ヒアリングした内容に基づき、求職者に最適な求人を紹介します。給与や勤務地、仕事内容だけでなく、企業文化や将来性なども考慮します。 |
3.応募書類の作成指導 | 履歴書や職務経歴書の書き方、効果的な自己PRの方法などを指導します。添削も行い、求職者の魅力が最大限に伝わるようサポートします。 |
4.面接日時の調整 | 企業と求職者との間で面接日時の調整を行います。双方の都合を考慮し、スムーズな選考プロセスをサポートします。 |
5.面接対策 | 想定される面接の質問への回答準備や、効果的な自己表現の方法などを指導します。模擬面接を実施することもあります。 |
6.条件交渉・調整 | 内定後の給与や待遇などの条件交渉を、企業と求職者の間で行います。双方が納得できる着地点を探ります。 |
7.選考結果の通知 | 企業からの選考結果を、求職者に速やかに伝えます。良い結果だけでなく、不採用だった場合のフォローも重要です。 |
8.入社日程の調整 | 内定承諾後、入社手続きや入社日程の調整を行います。スムーズな入社をサポートします。 |
9.入社後のフォロー | 入社後も定期的に連絡を取り、職場環境や仕事内容に関する悩み相談に乗ったり、キャリアプランの変更について相談に乗ったりするなど、継続的なサポートを行います。 |
キャリアコンサルタントとの違い
キャリアアドバイザーと混同されやすい職種に「キャリアコンサルタント」があります。どちらも就職や転職の支援を行うという点では共通していますが、キャリアアドバイザーは職業紹介を主な業務とするのに対し、キャリアコンサルタントはキャリアカウンセリングを主な業務とします。
キャリアコンサルタントは国家資格であり、より専門的な知識と技能が求められます。キャリアアドバイザーは求人紹介をメインに行いますが、キャリアコンサルタントは求職者自身のキャリアプランニングを支援することに重点を置いています。具体的な仕事内容や資格の有無、相談内容などが異なります。
キャリアアドバイザーに向いている人の特徴
キャリアアドバイザーは人と深く関わり、求職者のキャリア形成をサポートする仕事です。そのため、人と接することが好きで、誰かの役に立ちたいという思いが強い人に向いています。以下、具体的な特徴を挙げます。
参考記事:「【現役CAが語る】キャリアアドバイザー(CA)に必要なスキルとは?」
他者貢献を軸に仕事をする
キャリアアドバイザーの仕事は、求職者のキャリア形成を支援し、より良い人生を送れるようサポートすることです。そのため、他者のために何かをすることに喜びを感じる人に向いています。
自分の成功よりも、誰かの成功を喜べるような利他的な精神を持っている人が、この仕事でやりがいを感じられるでしょう。単に仕事を探すだけでなく、その人の人生設計全体を考え、長期的な視点でサポートしていくことが重要になります。
マルチタスクを難なくこなせる
キャリアアドバイザーは、複数の求職者を同時に担当し、それぞれの状況に合わせて求人紹介や面接対策などを行います。そのため、複数の業務を同時進行できるマルチタスク能力が求められます。
求職者からの問い合わせ対応や、企業との連絡、書類作成など、様々な業務を効率的にこなす必要があるため、優先順位をつけて計画的に仕事を進められる能力が重要です。 また、状況に応じて臨機応変に対応できる柔軟性も必要です。
人材業界に興味がある
キャリアアドバイザーは、常に労働市場の動向や企業のニーズを把握しておく必要があります。そのため、人材業界そのものに興味を持ち、常に最新の情報にアンテナを張っている人が向いています。
企業の採用動向や、求職者のニーズの変化などを敏感に察知し、適切なアドバイスを提供できるようになるためには、日頃から業界の情報収集を欠かさないことが大切です。新聞や業界誌、ウェブサイトなどを活用して、常に情報をアップデートしていきましょう。
コミュニケーション能力が高い
キャリアアドバイザーは、求職者だけでなく、企業の採用担当者ともコミュニケーションを取ることが求められます。そのため、良好な人間関係を築けるだけの高いコミュニケーション能力が不可欠です。
相手の話を丁寧に聞き取る力はもちろんのこと、自分の考えを分かりやすく伝える力も必要です。また、相手の立場に立って物事を考え、共感しながらコミュニケーションを取ることが、信頼関係を築く上で重要になります。
聞く力 | 話す力 | 書く力 |
---|---|---|
求職者の悩みや希望を丁寧に聞き取る | 求人に合った人材の特徴を企業に伝える | 求職者へのアドバイスをメールで送る |
企業の求める人物像を理解する | 面接対策のポイントを分かりやすく説明する | 企業への推薦状を作成する |
上記のように、コミュニケーション能力は様々な場面で必要とされます。キャリアアドバイザーを目指すのであれば、普段から意識的にコミュニケーション能力を高めるよう心がけましょう。
例えば、ロールプレイングで練習したりするのも有効です。
キャリアアドバイザーに向いていない人の特徴
反対に、以下のような特徴を持つ人は、キャリアアドバイザーの仕事に適していない可能性があります。
参考記事:「【体験談】キャリアアドバイザー(CA)が「やめとけ」「辛い」と言われる理由は?」
人材業界に興味がない
人材業界の動向や企業のニーズに関心がなく、常に最新の情報を得ようとする意欲がない人は、キャリアアドバイザーとして活躍することは難しいでしょう。
他人に興味がない
他人の話に耳を傾けたり、共感したりすることが苦手で、他人のために何かをすることに喜びを感じない人は、この仕事に向いていません。
キャリアアドバイザーは、求職者の話を丁寧に聞き、それぞれの個性や強みを理解した上で、最適なキャリアプランを提案する必要があります。
他人の人生やキャリアに寄り添うことができない人、共感することが苦手な人は、この仕事に適していないでしょう。他人の成功を自分の喜びと感じられるような、ホスピタリティ精神が求められます。
専門職に興味がある
特定の専門分野を深く掘り下げて研究したり、技術を磨いたりすることに興味があり、人と接するよりも専門的な仕事に就きたいと考えている人は、キャリアアドバイザーの仕事にはあまり魅力を感じないでしょう。
ルーチンワークを好む
キャリアアドバイザーの業務は多岐に渡り、毎日同じ業務を繰り返すことはほとんどありません。臨機応変な対応が必要とされる場面も多く、ルーチンワークを好む人にとっては、刺激が強すぎる環境かもしれません。
変化を楽しむことができ、常に新しいことに挑戦していく意欲のある人に向いている仕事です。
ストレス耐性が低い
求職者の転職活動は、人生における大きな転換期です。そのため、キャリアアドバイザーは、精神的に不安定な求職者と接する機会も多く、時には厳しい言葉を投げかけられることもあるでしょう。
また、企業との交渉や調整事も多く、高いストレス耐性が求められます。プレッシャーの中で冷静さを保ち、粘り強く業務に取り組む必要があるため、ストレス耐性が低い人は、この仕事で苦労する可能性が高いでしょう。
自分の意見を強く主張したい
キャリアアドバイザーは、求職者の希望や適性を考慮しながら、最適なキャリアプランを提案する必要があります。自分の意見を押し付けるのではなく、求職者の意思を尊重し、寄り添う姿勢が重要です。
自分の考えを強く主張したい人、他人をコントロールしたいと考えている人は、この仕事には向いていないでしょう。
向いている人の特徴 | 向いていない人の特徴 |
---|---|
他者貢献を軸に仕事をする | 人材業界に興味がない |
マルチタスクを難なくこなせる | 他人に興味がない |
人材業界に興味がある | 専門職に興味がある |
コミュニケーション能力が高い | ルーチンワークを好む |
傾聴力が高い | ストレス耐性が低い |
共感力が高い | 自分の意見を強く主張したい |
キャリアアドバイザーになる方法
キャリアアドバイザーになる方法は大きく分けて2つあります。1つは未経験から転職する方法、もう1つは人材業界で経験を積んでキャリアアップする方法です。
キャリアアドバイザーになるためには、必ずしも特定の資格が必要なわけではありません。未経験からでもキャリアアドバイザーとして働くことは可能です。
ただし、キャリアコンサルタントの国家資格を取得していると、専門知識を有している証明となるため、就職活動で有利になるでしょう。また、転職エージェントや人材紹介会社など、人材業界での経験も役立ちます。求人サイトなどで募集要項を確認し、自分に適した求人に応募してみましょう。
未経験からキャリアアドバイザーになる方法
未経験からキャリアアドバイザーを目指す場合、最も一般的なのは民間の転職エージェントに登録し、求人を紹介してもらう方法です。
また人材業界全体の伸長に伴って、近年ではキャリアアドバイザーの需要が高まっています。ですので、積極的に求人を探すことで、人材系企業への就職の道は比較的開かれやすいです。
転職エージェントは、求職者の希望やスキルに合った求人を紹介してくれるだけでなく、面接対策や条件交渉などもサポートしてくれます。そのため、未経験でも安心して転職活動を進めることができます。
また、転職サイトを利用して、自ら求人を探す方法もあります。転職サイトには、数多くの求人が掲載されているため、自分の希望に合った求人を見つけやすいというメリットがあります。ただし、転職サイトの場合は、面接対策や条件交渉などを自分で行う必要があるため、ある程度の準備が必要です。
求人情報の探し方
求人情報を探す際には、以下のキーワードで検索すると効率的です。
- キャリアアドバイザー
- 転職コンサルタント
- 人材紹介
- キャリアカウンセラー
また、求人サイトや転職エージェントのサイトでは、職種や業種、勤務地などで絞り込み検索ができるため、希望条件に合った求人を効率的に探すことができます。
人材業界で経験を積んでキャリアアドバイザーになる方法
既に人材業界で働いている方は、社内でのキャリアアップとしてキャリアアドバイザーを目指すことができます。例えば、人材コーディネーターやリクルーターとして経験を積んだ後、キャリアアドバイザーに昇格するというキャリアパスが一般的です。
これらの職種では、求職者や企業とのコミュニケーション、求人情報の管理、面接のセッティングなど、キャリアアドバイザーに必要なスキルを身につけることができます。
必要なスキル・資格
キャリアアドバイザーとして働く上で、必ずしも必要な資格はありませんが、国家資格キャリアコンサルタントやGCDFキャリアカウンセラーなどの資格を取得していると、専門知識を有することを証明でき、転職活動やキャリアアップに有利に働く可能性があります。これらの資格は、通信講座や専門学校などで取得することができます。
資格名 | 概要 | 取得方法 |
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国家資格キャリアコンサルタント | キャリアコンサルティングを行うための国家資格。 | 指定の講習機関で学科・実技講習を受講し、国家試験に合格する必要がある。 |
GCDFキャリアカウンセラー | 米国CCEが認定するグローバルなキャリアカウンセリングの資格。 | 認定講座を受講し、所定の要件を満たす必要がある。 |
また、コミュニケーション能力や傾聴力、問題解決能力なども重要なスキルです。これらのスキルは、日々の業務を通して磨いていくことができます。